今では「引退ポスト」と呼ばれてSNSを中心に話題となり、テレビにも取り上げられるようになった播州清水寺の旧型・丸型ポスト。実はこのポストは戦前から境内の中にあり、約70年前の1955年頃までは現役ポストとして使用されていました。

お寺は御嶽山の山頂に立地しているので、当時の郵便局員さんは2日に一度片道45分の登山道を〝歩いて〟山頂に上がり、郵便物を回収していたと言います。

その後、別の場所に新型ポストが設置されたので古いポストはもう使われなくなり、何時しか古びて放置されてしまいました。

これを見た今の清水谷善英住職が、永きに渡ってたくさんの人々の役に立ってきたポストをそのままにはしておけないと、運んで綺麗に洗って境内の南西の今の旧山門付近に移設しました。

“まるでジブリの世界”

森の中にひっそり佇むこの旧型ポストはいつしか人々から「引退ポスト」と呼ばれるようになり、そのレトロな姿が令和に入った頃からSNSに投稿されるようになりました。

見る人によって感想は様々で、「ジブリ映画に出てきそう」「レトロでかわいい」「エモーショナル」「哀愁と風情が漂うポスト」「投函したらあの世にいる大切な人に配達してくれそう」…等々たくさんのコメントが写真と一緒にInstagramやTwitterに投稿されています。

昔ながらの丸型ポストには「郵便」の文字が右側から書かれており時代を感じさせます

知られざる観光名所に

季節によって様々な雰囲気が漂うこの引退ポストはいつしか人気の撮影スポットになり、森に囲まれた姿をカメラに撮ろうとする人々が増えて、今では新緑や紅葉の時期になると訪れる人が絶えません。

新緑の中の引退ポスト
紅葉の中の引退ポスト
11月中旬〜下旬は紅葉の名所でもある
雪の中の引退ポスト

インターネットで「#引退ポスト」や「#播州清水寺」を開くと、たくさんの写真が出てきます。

一年を通して違う写真が撮れると話題の引退ポスト。兵庫へお越しの際は、ぜひ播州清水寺まで足を伸ばしてレトロな旧型ポストをご自身のカメラに収めてみてはいかがでしょうか。

播州清水寺は日本遺産に認定された西国三十三所の第25番札所です。兵庫県の御嶽山(標高552m)の山頂に立ち、春は桜やシャクナゲ、夏は紫陽花や新緑、秋は紅葉、冬は椿や雲海など四季折々の景色を楽しめます。引退ポストやおかげの井戸など、人気のスポットを数多く有する山寺で兵庫県を代表する観光寺。本堂は令和9年に創建1400年を迎えます。